フランス革命期に生まれた後世に残る名言とは？

フランス革命の時代は、単に体制をひっくり返しただけでなく、言葉の力で人々の心を動かした時代でもありました。演説、パンフレット、新聞、さらには処刑場での最後の言葉まで──その一つ一つが、人々の記憶に刻まれていきました。

ここでは、革命期に生まれた、あるいはその土壌を作った後世に残る名言をいくつかご紹介します。

「人は自由なものとして生まれ、そして至るところで鎖につながれている」

この言葉の主は、フランス革命の思想的な基盤を築いたジャン＝ジャック・ルソー。彼の著書『社会契約論』（1762年）の冒頭にある一文です。


このフレーズは、「生まれながらにして人間は自由である」という思想を訴えつつも、実際の社会では不平等や圧力に満ちているという矛盾と怒りを端的に表しています。革命家たちはこの言葉に大きく影響を受け、「どうやって鎖を断ち切るか」という問いに全力で向き合いました。

ジャン＝ジャック・ルソー（1712 - 1778）
フランスの哲学者で啓蒙思想家。社会契約論や教育に関する彼の理念は、フランス革命を思想的に準備した。
（出典：Creative Commons Public Domainより）

「自由・平等・博愛」

言わずと知れた、フランス革命のスローガンです。これはただのキャッチコピーではなく、革命の中で何度も問い直され、争われ、実践されようとした理想そのものでした。


最初にこの言葉が登場したのは1790年ごろ、革命の初期にあたります。1793年の憲法草案でも登場し、のちのフランス共和国のモットーとして定着しました。この三語は現在でもフランス国旗の掲げる理念となっており、世界中の民主主義思想にも影響を与え続けています。

「自由の敵は、自由の名のもとに自由を否定する者である」

この言葉は、恐怖政治を推し進めたロベスピエールのものとされています。彼は一方で「徳なき自由は破壊的である」とも語っており、自由を守るためにはある種の制限や処罰も必要だと信じていました。


この考え方は、現在から見ると矛盾しているようにも思えますが、当時の不安定な社会の中で理想と現実のバランスを取ろうとする葛藤だったともいえます。彼の言葉は、「自由を守るとはどういうことか」という永遠の問いを私たちに投げかけているようです。