フランス革命以降、フランスの経済政策はどう変わった?

フランス革命以降、フランスの経済政策はどう変わった?

フランス革命以降、経済政策は自由主義的な市場原理を重視する方向に進んだ。封建的規制が撤廃され、産業や商業活動の自由が拡大したのである。本ページでは、フランス革命後の経済政策の転換を理解する上で重要なこのテーマについて、さらに詳しく掘り下げ解説していく。

フランス革命以降、フランスの経済政策はどう変わった?

フランス革命が政治体制や社会の仕組みを大きく変えたことは知っているのですが、経済の面では具体的にどんな変化があったのでしょうか? 旧制度のもとでは特権階級が税を免除されていて、庶民の負担が大きかったと聞きますが、革命によってその不平等は是正されたのでしょうか? また、税制や財政、農業や産業などの分野で、国の経済運営にどんな新しいアプローチがとられるようになったのかも知りたいです。



フランス革命後の経済政策って、ざっくり言えば「特権のない、国民全体のための経済」にシフトしていく流れでした。革命以前は、王族や貴族、聖職者が優遇される構造で、税負担はほとんど平民が背負っていたんですね。でも革命でその構造がひっくり返ったことで、「誰もが同じルールのもとに経済活動を行うべきだ」という考え方が浸透していくことになります。


特権をなくしたことで、税制はより公平なものに

革命前のフランスでは、財政破綻寸前にもかかわらず、特権階級の人たちは税をほとんど払っていませんでした。聖職者や貴族は「第一身分」「第二身分」とされ、免税の特権を持っていたんです。そのしわ寄せは全部、平民たちに押しつけられていたという構図。


でも1789年8月、国民議会がついにこの特権を全面的に廃止。すべての人が所得や財産に応じて税を納める仕組みがスタートします。つまり、誰かだけが得する構造をやめて、もっとフラットな社会を目指そうとしたわけです。


この税制改革は、国家の歳入の安定化にもつながり、「持続可能な国家運営」に向けた第一歩となりました。


Abolition of Privileges at the National Assembly 1789

1789年、フランス国民議会で特権階級の免税特権が廃止される法案が採択された瞬間を描いた貨幣のレリーフ
(出典:Creative Commons CC0 1.0より)


土地の再分配と農業経済の変化

フランス革命のもう一つの大きな経済的インパクトは、「土地の再分配」でした。これまでは教会や貴族が広大な土地を所有していて、農民たちはその土地で働きながら地代や労働義務を負っていたんです。でも革命によって、教会の財産は国有化され、それらの土地は売りに出されることに。


ここで土地を買ったのは、新興の中産階級や、少しずつお金を貯めていた農民たちでした。こうして、多くの農民が「自分の土地を持つ」という初めてのチャンスを手に入れ、フランスの農村社会は大きく様変わりしていきます。


地主に依存せず、自律的に農業を営む人が増えたことで、農業生産は安定化し、地方経済も元気を取り戻していく流れが生まれました。


経済活動の自由化と新たな商工業の広がり

さらに革命政府は、商業や産業の分野でも古い制度をバッサリ撤廃します。たとえば、旧体制下ではギルドと呼ばれる職業組合が存在し、商人や職人は厳しい規制のもとでしか商売ができなかったんです。


でもこの制約は「不平等の温床」とみなされ、革命政府は1791年にギルド制度を廃止。誰でも自由に職業を選び、商売を始められるようにしました。これにより、小規模な商工業者や職人たちが都市で活躍するようになり、経済の活性化につながります。


また、革命を通じて「国家の財政をどう運営するか」という課題に直面したことで、近代的な財政管理の考え方──たとえば国債の発行や通貨制度の見直しなども模索され始め、19世紀以降の経済政策のベースが築かれていきました。


このようにフランス革命は、単に政治を変えただけでなく、経済の仕組みそのものを大改革した出来事でもありました。


税の公平化、土地の再分配、職業の自由化──これらの変化によって、人々の働き方や暮らし方は大きく変わり、近代的な経済社会の入り口が開かれたのです。


封建的な制度に縛られない新しい経済の形を目指したこの挑戦は、後の産業革命や資本主義社会の発展にも少なからぬ影響を与えることになります。