
フランス革命の反動として「ロマン主義」という文化運動が生まれたらしいけど、どうしてそうなったの?どんな背景があったの?
ロマン主義がフランス革命の反動として生まれたのは、革命の混乱や理性中心の思想への反発が、人々の内面や感情に目を向けさせたことが大きな理由です。
まず、フランス革命(1789–1799)は「自由」「平等」「理性」といった啓蒙思想に基づき、社会の大変革を目指しました。しかし、革命が進むにつれて恐怖政治や戦争、社会の混乱が広がり、多くの人々が理想と現実のギャップに失望しました。「理性」や「進歩」の追求が暴力や破壊を招いたとして、啓蒙思想に対する反発が強まったのです。
このような背景の中で、ロマン主義は「感情」や「個人の内面」、「自然」への回帰を重視する文化運動として登場しました。人々は、革命による混乱から離れ、感情や想像力を重視する新たな価値観に魅了されたのです。特に、人間の感情の複雑さや、理性では解決できない人生の謎を探求することに重点を置くようになりました。
さらに、ロマン主義は革命の反動として「過去」への郷愁を呼び起こしました。中世やルネサンスの価値観が再評価され、騎士道や宗教的感性が作品のテーマとして復活しました。これらは、革命が破壊した伝統的な価値や秩序への懐古の現れとも言えます。
『霧の上の放浪者』/カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ作、1818年
ロマン主義の典型的な例であり、ロマン主義の核となるテーマ「自然の壮大さ、人間の内面性、神秘への憧れ」を巧みに表現している。
(出典:Creative Commons Public Domainより)
つまるところ、フランス革命による理性中心の混乱が、ロマン主義という感情と個性を重んじる新たな運動を生み出したのです。この流れは、文学や芸術、音楽に大きな影響を与え、19世紀のヨーロッパ文化を彩る重要な要素となりましたね。