
フランス革命を勉強していて、「人は生まれながらにして自由で平等な権利を持つ」っていう言葉を目にしたんですが、これって具体的に何の権利のことなんでしょうか? よく「人権」って聞くけれど、それと同じもの? そもそもどういう背景でこんな考え方が出てきたのか、ルソーとか啓蒙思想との関係も含めて、わかりやすく教えてほしいです!
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この「人は生まれながらにして自由で平等な権利を持つ」というフレーズ、実は「人権(自然権)」を指しているんです。とくにこれは1789年の『人権宣言』の冒頭にも出てくる有名な一文。つまり、すべての人が生まれた時から当然に持っているとされる、政治や社会に縛られない基本的な権利のことを指しているんですね。
でも、なぜこうした考えが広まったのか? そこには啓蒙思想の大きな影響と、社会の根底に対する問題提起があったんです。
「自然権」というのは、文字通り“自然に与えられた権利”のこと。生まれたときからすべての人に備わっているとされ、どんな政府や権力者でもそれを奪ってはいけない、という考え方です。
17世紀~18世紀にかけてのヨーロッパでは、王様が全権を握る絶対王政が続いていましたが、それに疑問を投げかけたのが啓蒙思想家たち。彼らは「人は理性を持つ存在であり、自由に生きる権利がある」と訴えました。
その中でもジャン=ジャック・ルソーは、「人は自由な存在として生まれたのに、至る所で鎖につながれている」と主張し、支配される側である市民こそが社会の主人公であるべきだという社会契約論を唱えました。
ジャン=ジャック・ルソーの肖像
ルソーの思想は、1789年のフランス人権宣言に影響を与えた。特に彼の「社会契約論」で提唱される自由と平等の概念が、宣言の基本原理に反映されている。
(出典:Creative Commons Public Domainより)
このような思想を背景に、フランス革命の最中に誕生したのが『人権と市民の権利の宣言』(通称:人権宣言)です。これは1789年8月26日にフランス国民議会によって採択されたもので、人間の自由・所有権・安全・圧政への抵抗などを「普遍的な権利」として明記しました。
この宣言の第一条には、まさにこう書かれています。
「人は自由で、かつ平等な権利を持って生まれ、そして生きている」
これまで貴族や聖職者にだけ与えられていた特権を否定し、すべての市民が法のもとで平等であるという理念を示したのです。これこそが、今日私たちが「人権」と呼んでいる考え方の原型なんですね。
人権と市民の権利の宣言/1789年
フランス革命の中心的な成果であるこの文書は、人間の普遍的な権利を宣言し、近代民主主義の基礎を形成、法体系の発展に大きな影響を与えた。
(出典:Creative Commons Public Domainより)
人権宣言は単なる国内法ではなく、世界中にインパクトを与えた思想の表明でした。この宣言が掲げた自由や平等の理念は、のちにアメリカの独立宣言や国連の世界人権宣言などにもつながっていきます。
また、立憲主義や法の支配という考え方もここから強く意識されるようになり、「誰かの命令に従う」のではなく、「すべての人が合意したルールのもとで生きる」という近代民主主義の基本が確立されていきました。
さらに、教育や選挙権、表現の自由といった現代の制度の礎も、当時の「自然権」や「人権宣言」の発想から出発しているんです。
つまり、「人は生まれながらにして自由で平等な権利を持つ」というのは、自然権=人権という考え方の核心をなす一文であり、それが人権宣言という形で明文化されたことは、フランス革命の中でも特に画期的な出来事でした。
この考え方はその後、国や時代を超えて受け継がれ、現代社会の根っこを形づくっていると言っても過言ではありません。権力に振り回されずに、自分らしく生きるという感覚の原点──それが、ここにあったんですね。
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