「宗教の自由」ってフランス革命で生まれた考え方なの?

フランス革命と宗教・信仰に関する一問一答

「宗教の自由ってフランス革命で生まれた考え方なの?」という問いに対する回答になります。啓蒙思想の影響、革命期の法的変化、宗教的寛容の進展に着目し、フランス革命が宗教の自由に与えた影響を理解していきましょう!

「宗教の自由」ってフランス革命で生まれた考え方なの?

「宗教の自由」ってフランス革命がきっかけで生まれた考え方なの?それとももっと前からあったの?

「宗教の自由」という考え方は、フランス革命によって大きく進展しましたが、その起源は革命以前にさかのぼります。17世紀から18世紀にかけて、啓蒙思想家たちが宗教的寛容や信仰の自由を提唱していました。例えば、ヴォルテールは宗教的迫害を批判し、「寛容論」などの著作を通じて、すべての人が自由に信仰できる社会を訴えました。このような思想が、フランス革命の理念の基盤を築いたのです。

 

ヴォルテールの肖像

ヴォルテール(1694 - 1778)/ニコラ・ド・ラルジリエール作
フランス・パリ出身の啓蒙思想家。専制批判、自由、寛容、理性を重視し、フランス革命の思想的基盤を築いたことで知られる。
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

フランスでは、1685年にナントの勅令の廃止でプロテスタントが迫害されるなど、宗教の自由が大きく制限されていました。しかし、18世紀末のフランス革命は、旧体制の不平等を否定し、「自由・平等・友愛」を掲げた運動として、宗教の自由を含む新たな社会の枠組みを作るきっかけとなりました。1789年の人間と市民の権利の宣言では、すべての人が自由に宗教を選び、信仰できる権利が明記。さらに、1791年にはプロテスタントやユダヤ人を含むすべての宗教が法的に平等な地位を得ることが認められたのです。

 

ただし、革命期の宗教政策は一貫していたわけではありません。急進派が主導した時期には理性崇拝が推進され、カトリック教会が弾圧される場面もありました。それでも、フランス革命が「宗教の自由」という理念を制度的に確立する契機となったのは間違いないでしょう。

 

このように、「宗教の自由」はフランス革命以前から存在した思想ですが、革命によって法的に保障される新しい段階へと進化したのです。これは近代的な人権の礎を築いた重要な一歩だったといえるでしょう。