
フランス革命のとき、財政危機が大きな問題だったって聞いたけど、そのとき財務大臣を務めたのは誰?どんなことをしたのか教えて!
フランス革命(1789–1799)の発端ともいえる財政危機に直面し、財務大臣(または財務総監)を務めた代表的な人物がジャック・ネッケル(1732–1804)です。彼の役割と政策が革命の流れを大きく左右しました。
ネッケルは、スイス出身の金融家で、1777年から1781年、そして1788年から1789年にかけてフランス王国の財務総監を務めました。彼の任期中、フランスはアメリカ独立戦争への介入や王室の贅沢な支出によって深刻な財政赤字に陥っていました。ネッケルは、特権身分にも税を課すよう提案し、財政の公平化を目指しましたが、貴族や聖職者からの反発に直面しました。
ジャック・ネッケルの肖像
ジョゼフ=セフォラン・デュプレシによる肖像画。フランスの財務大臣として経済危機に対処した。
(出典:Creative Commons Public Domainより)
特に注目されるのは、1781年に彼が発表した『財政報告書』です。これはフランス王室の収支を初めて国民に公開した画期的な試みであり、国民からの支持を集める一方で、貴族層からの反感を買いました。さらに、1788年に再び財務総監に復帰した際には、財政改革の必要性を訴えつつも、改革を実現することができませんでした。
1789年7月、ネッケルが解任されたことは革命を引き起こす直接的な引き金の一つとなりました。この決定に対する市民の反発がバスティーユ牢獄襲撃(1789年7月14日)へとつながったのです。彼の解任は、国王ルイ16世への信頼をさらに低下させ、革命の勢いを加速させました。
ジャック・ネッケルは、財政危機の解決を目指したものの、制度改革の壁に阻まれ、その試みがフランス革命を引き起こす一因となった人物でした。彼の政策とその限界が、革命の歴史を形作ったのです。