フランス革命は「ポピュリズム」ともいえるの?

フランス革命期の思想・哲学に関する一問一答

「フランス革命は『ポピュリズム』ともいえるの?」という問いに対する回答になります。ポピュリズムの定義や大衆の役割に注目し、フランス革命における類似点や違いを詳しく解説します!

フランス革命は「ポピュリズム」ともいえるの?

フランス革命って、「ポピュリズム」の一種だっていう説を聞いたけど、本当にそうなの?どこが似ていて、どこが違うのか教えて!

フランス革命(1789–1799)は、ポピュリズム的な要素を持っていると考えられる部分もありますが、厳密には異なる点も多いです。では、ポピュリズムとフランス革命の類似点や違いを見ていきましょう。

 

ポピュリズムとの類似点

まず、ポピュリズムとは、特権的なエリート層に対抗して「人民の意志」を強調し、政治を進める運動を指します。この点で、フランス革命は「特権階級への反発」を掲げたという意味でポピュリズム的な側面を持っていました。

 

特に、第三身分(平民)が旧体制(アンシャン・レジーム)に対する不満を爆発させ、国民議会を結成した動きは、大衆の力を使って社会を変えようとするポピュリズムの特徴に近いと言えます。また、ジャコバン派による政策は、民衆の不満を利用し、特権層や反革命派を徹底的に排除するという点でポピュリズム的な要素を含んでいました。

 

ポピュリズムとの違い

しかし、フランス革命がポピュリズムと異なる点も重要です。ポピュリズムはしばしば「単一の人民の意志」を強調しますが、フランス革命はさまざまな理念や階級の利害が入り混じった複雑な運動でした。

 

山岳派やジロンド派、そして王党派など、多様なグループがそれぞれの視点で社会を改革しようとしたため、「単一の人民の意志」とは言い難い状況がありました。また、啓蒙思想に基づいて構築された革命の理念(自由、平等、博愛)は、短期的な感情に訴えるポピュリズムとは異なる、体系的な哲学に支えられていたのです。

 

 

 

このようにフランス革命は、特権層に対する民衆の力を活用した点でポピュリズム的ですが、啓蒙思想に基づいた理想を追求した点でより複雑な運動だったのです。この二面性が、革命を深く考える上での鍵と言えますね。

 

ジャン=ポール・マラーの肖像

ジャン=ポール・マラー(1743 - 1793)
山岳派の指導者。彼が発行した新聞『アミ・デュ・ペープ(人民の友)』は、民衆の怒りを煽るような内容で支持を集め、彼が引き起こしたとされる八月十日事件や九月虐殺などはポピュリズム的要素を含んだ事案ともいえる。
(出典:Creative Commons Public Domainより)