フランス革命で本当に身分制は廃止されたの?

フランス革命と身分・階級に関する一問一答

「フランス革命で本当に身分制は廃止されたの?」という問いに対する回答になります。封建的特権の廃止や法律上の平等がどのように実現したのか、その限界や課題も含めて解説します!

フランス革命で本当に身分制は廃止されたの?

フランス革命で「身分制が廃止された」ってよく聞くけど、本当に完全になくなったの?どこまで実現できたのか教えて!

フランス革命(1789–1799)は、旧体制(アンシャン・レジーム)の身分制を否定し、法律上の平等を目指した画期的な出来事でした。しかし、「身分制の廃止」がどこまで実現したのかには議論の余地があり、完全に平等な社会が築かれたわけではありません。その背景を詳しく見てみましょう。

 

まず、1789年8月4日の封建的特権の廃止が転換点となりました。貴族や聖職者が持っていた免税特権や、農民に対する領主的権利(地代や年貢の徴収など)が廃止され、すべての人が法律の下で平等とされました。この改革により、法律上は旧来の身分制が解体され、特権による不平等が是正されたのです。

 

Abolition of Privileges at the National Assembly 1789

1789年、フランス国民議会で特権階級の免税特権が廃止される法案が採択された瞬間を描いた貨幣のレリーフ
(出典:Creative Commons CC0 1.0より)

 

しかし、実際には経済や社会の構造において、完全な平等は実現されませんでした。ブルジョワジー(市民階級)は革命の主導者となり、新たな支配層として台頭しましたが、農民や労働者の生活は革命前と大きく変わらない部分も多くありました。また、女性や奴隷、植民地の人々には革命の平等理念が十分に適用されず、依然として差別や制限が存在していました。

 

さらに、1799年に成立したナポレオン政権では、貴族的な階級制度が部分的に復活しました。ナポレオンは「名誉のレジオン」といった新しい称号を創設し、身分制の代わりに功績に基づく階層化が進められました。これにより、旧体制ほど固定的ではないものの、社会的な序列が再び形成されることになったのです。

 

このように、フランス革命では、旧体制の身分制が法律上は廃止されましたが、実際の社会では経済格差や新しい階層が残り、完全な平等には至りませんでした。それでも、この改革は後の社会変革に向けた重要な一歩だったといえるでしょう。