フランス革命で三色旗が果たした役割とは？

赤・白・青の三色旗（トリコロール）は、いまではフランスを象徴する国旗として世界中で知られていますが、そのルーツはまさにフランス革命のただ中にあります。この旗は、単なるデザインではなく、革命の精神と民衆の思いをぎゅっと凝縮した「ビジュアルなメッセージ」だったのです。

三色に込められた「団結」と「新しいフランス」の意思

三色旗が初めて登場したのは1789年、バスティーユ牢獄の襲撃の直後。革命の混乱の中、ラファイエット将軍が新設された「国民衛兵隊」のシンボルとして提案したのがこの旗でした。当初は「白はブルボン王家の色」、「青と赤はパリ市民の伝統色」とされ、それを組み合わせることで王と民衆の和解・団結を表していたんです。

つまり、この旗は「敵対していたはずの権力者と民衆が、新しいフランスを一緒につくろう」という希望の象徴でもありました。そしてこの色の組み合わせは瞬く間に広まり、革命派のバッジや軍旗、衣服の装飾に使われるようになります。

やがて、ブルボン家の白は象徴として薄れていき、三色そのものが「革命そのものの旗印」へと変化していきました。

旗は「言葉以上に語るシンボル」となった

三色旗が広まった理由のひとつは、その視覚的な力強さにありました。文字が読めない人でも、赤・白・青の配色を見るだけで、「あ、この人は革命側なんだ」とすぐにわかる。そのシンプルさと明快さは、激動の時代において人々を結びつける大きな力となったんです。

とくにサン・キュロット（都市の労働者層）や学生たちの間では、この三色を身にまとうことが「自分は革命に参加している」という意思表示になっていました。バンダナや帽子、リボンなどで身に着けられ、三色の腕章を巻いた国民衛兵たちは、秩序を守る存在でありながら、同時に新しい時代の担い手でもあったのです。

この旗を掲げることは、まさに行動の意思を可視化する手段でした。

三色旗はやがて「革命の記憶」となって受け継がれる

革命後、ナポレオン政権期を含めて、三色旗はさまざまな形で政治的に利用されます。一時期は王政復古で廃止される場面もありましたが、1830年の七月革命で再び掲げられ、以後は共和国の象徴として定着していきました。

三色旗

この旗は単なる「国家の印」ではなく、民衆の手によって作られ、闘いの中で育まれた象徴なんです。だからこそ、今もフランスの国民にとって「自分たちが勝ち取った権利と自由」を思い出させる特別な存在となっているんですね。

学校でも広場でも、オリンピックの表彰式でも、三色旗が揺れるたびに、そこには革命の記憶が息づいているのです。