
フランス革命で登場する「人権宣言」って、歴史の教科書でよく出てきますよね。でも、具体的にどんなことが書かれているのかはあまりピンとこなくて……。「自由」とか「平等」とかっていうけれど、実際には何がどう変わったのか、それぞれの内容をざっくりとわかりやすく教えてください! 特に、それが当時の社会とどう違っていたのかにも興味があります。
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「人権宣言(人間と市民の権利の宣言)」は、1789年8月26日、フランス革命のさなかに国民議会によって採択された文書です。たった17条で構成されていますが、その中には近代民主主義の基本原則がギュッと詰まっています。簡単にいえば、「すべての人は生まれながらにして平等で自由であるべきだ」という考え方を、国家が正式に認めた宣言なんです。
では、いったいどんな内容だったのか? ざっくり3つのポイントで解説していきましょう!
宣言の冒頭には、「人は自由で、かつ平等な権利をもって生まれ、そして生きている」と明記されています。ここで言う自由とは、「他人の権利を侵さない限り、自分の行動を自分で決められること」。そして平等とは、法律の前で身分によらずすべての人が同じ扱いを受けるということです。
これは、当時の旧体制(アンシャン・レジーム)とは真逆の考え方。というのも、当時は第一身分(聖職者)・第二身分(貴族)・第三身分(平民)という身分制度のもと、法や税の扱いすらまったく平等ではなかったからです。
三身分
人権宣言が否定した旧体制の不平等を象徴的に描いた絵画。快適に座る貴族と聖職者(第一身分と第二身分)と、その下で労働を背負う第三身分が描かれている。。
(出典:Creative Commons Public Domainより)
それまでのフランスでは、「王様は神から統治の権利を与えられている」とされていました(これを王権神授説といいます)。でも人権宣言では、「すべての主権は国民にある」とはっきり宣言されたんです。
つまり、国家の力の源は民衆であるという、いわゆる人民主権の考え方ですね。これはジャン=ジャック・ルソーの「社会契約論」から影響を受けたもので、「国家は国民の合意によって成り立つべきだ」という近代的な政治観を打ち立てました。
この発想によって、王の命令ではなく、国民の意思=法律こそが社会を動かすルールとなっていったのです。
人権宣言では、「自由な意見表明」「信仰の自由」「出版の自由」なども、すべて不可侵の自然権として認められました。つまり、誰でも自分の考えを表現でき、どんな宗教を信じてもいいし、誰かに監視されることなく発言できる社会をめざしたんです。
また、財産権の保障も明記されており、自分の持ち物を守る権利は国家によって保護されるべきだとされました。これは農民や都市市民にとって非常に大きな意味があり、封建的な義務や搾取から解放される大きなきっかけになりました。
このように、人権宣言の内容はどれも当時としては革命的で、王と特権階級に支配されていた社会から、国民が主役の社会へと大きく舵を切るものでした。
そしてこの理念は、フランス国内だけでなく、世界中の憲法や人権思想に影響を与え、今日の民主主義の土台となっています。
「すべての人は自由で平等」というシンプルだけど力強い言葉が、まさにこの宣言の核だったんですね。
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