
フランス革命というと、バスティーユ襲撃や恐怖政治など血なまぐさい事件のイメージが強いですが、その中にも人道的な行動や感動的なエピソードはあったのでしょうか。命を救った話や、敵味方を超えて手を取り合ったような、美談として語り継がれている出来事を知りたいです。
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確かにフランス革命は暴力や処刑の印象が強いですが、その渦中にも人道的で心温まるエピソードはいくつも存在します。その中でも象徴的なのがラファイエット侯爵にまつわる話です。彼はアメリカ独立戦争にも参加した自由主義者であり、フランス革命初期には国民衛兵司令官としてパリの治安維持に努めました。
1789年10月5〜6日のヴェルサイユ行進では、食糧不足に怒った女性たちと国民衛兵が宮殿へ押し寄せ、暴徒化しかけます。このときラファイエットは国王一家の安全を守るため、人垣を作って暴徒を制止し、流血を最小限に抑えました。さらに彼は国王夫妻にパリへの移動を説得し、市民の歓声の中で行進を伴って護送しました。これは両陣営の衝突を避けた稀有な例です。
ラファイエットは革命派でありながら、過激派の暴力には批判的でした。国王や王妃が直接命を狙われそうな場面でも、敵であるはずの人物を保護しようと行動。例えば王妃マリー・アントワネットに対しても、ヴェルサイユ行進の際にバルコニーで市民に姿を見せるよう助言し、彼女が危害を受けないよう配慮しました。
ラファイエットは急進派からは「中途半端」と批判され、最終的に国外亡命を余儀なくされますが、彼の「流血を避けるための努力」は後世で高く評価されました。暴力が常態化していた時代にあっても、信念に基づき人命を守ろうとした姿勢は、革命史の中の貴重な美談といえます。
ラファイエット侯爵/アリ・シェフェール作、1822年
(出典:Creative Commons Public Domainより)
このように、フランス革命の激動の中でも、武力ではなく交渉や人道的判断によって衝突を回避した人々がいました。ラファイエットの行動は、その代表的な美談として今も語り継がれています。
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