フランス革命期に起こった暗殺事件とは?

フランス革命期に起こった暗殺事件とは?

フランス革命期には、政治的対立から要人暗殺が相次いだ。これらの事件は政局を不安定化させ、恐怖政治を助長したのである。本ページでは、フランス革命の暗殺事件の事例と背景を理解する上で重要なこのテーマについて、さらに詳しく掘り下げ解説していく。

フランス革命というと戦争や蜂起のイメージが強いですが、その中で暗殺事件も起きていたそうですね。特に有名なマラー暗殺以外にも、どんな政治的背景や人物が関わっていたのか──革命期に実際に起きた暗殺事件について知りたいです。



フランス革命期(1789〜1799年)は、政治的対立が激化し、暴動や戦争だけでなく暗殺事件も発生しました。その多くは、派閥間の憎悪や政策の対立、あるいは個人的復讐が背景にあります。


マラー暗殺(1793年7月13日)

もっとも有名なのが、ジャコバン派の急進的指導者ジャン=ポール・マラーの暗殺です。彼は新聞『人民の友』で政敵を名指し批判し、恐怖政治の推進役となっていました。ジロンド派支持者であったシャルロット・コルデーは、「彼の死が流血を止める」と信じ、入浴中のマラーを短剣で刺殺しました。コルデーは即日逮捕され、4日後に処刑されます。


The Death of Marat by Jacques-Louis David

ジャック=ルイ・ダヴィッドによるマラーの死/1793年
1793年ジャック=ルイ・ダヴィッド作。革命指導者ジャン=ポール・マラーの暗殺を描いており、フランス革命時の社会的緊張と政治的混乱を示している。
(出典:Creative Commons Public Domainより)


ルペルティエ暗殺(1793年1月20日)

国民公会議員ルイ=ミシェル・ルペルティエ・ド・サン=ファルジョーは、国王ルイ16世の処刑に賛成票を投じた翌日に暗殺されました。犯人は元王党派の元近衛兵で、国王の死刑判決に報復する意図があったとされます。ルペルティエは革命の殉教者として葬られ、その葬儀はマラー暗殺と並ぶ象徴的事件となりました。


その他の暗殺未遂と政治的暴力

1790年代後半には、総裁政府期の不安定な政治状況の中で、ジャコバン派や王党派による暗殺未遂が相次ぎました。特にナポレオン台頭前夜には、政府高官や軍司令官を狙った計画が度々発覚しています。1799年のブリュメール18日のクーデター直前にも、派閥間の暴力的衝突が増加していました。


フランス革命期の暗殺事件は、単なる個人的犯行ではなく、多くが政治的メッセージ派閥間闘争と結びついていました。マラー暗殺のように芸術作品で後世に残った事件もあり、革命の激しい空気と人々の対立を象徴しています。