フランス革命と宗教・信仰に関する一問一答

フランス革命はユダヤ人にとっても歴史的な転換点でした。それまでのフランスでは、ユダヤ人は宗教や地域によって異なる制約を受け、法的・社会的な不平等に苦しんでいました。特にアルザス地方などでは重税や移動制限が課され、ユダヤ人は「他者」として扱われていたのです。

 

転機となったのは、1789年の人間と市民の権利の宣言です。この宣言が掲げた「法のもとでの平等」は、宗教的な少数派にも適用されるべきだという議論を生み出しました。しかし、実際にユダヤ人の解放が進むには時間がかかりました。議論は主に、セファルディム（ポルトガルやスペイン系ユダヤ人）とアシュケナジム（中央ヨーロッパ系ユダヤ人）で分かれ、セファルディムは商業や金融で社会的に統合されていたため、1790年に早くも公民権を獲得しましたが、より多数を占めるアシュケナジムの解放は難航したのです。

 

最終的に、1791年に国民議会でユダヤ人の完全な公民権付与が可決。この決定は、宗教に関わらず全ての市民が平等であるとする革命の理念に基づくものでした。これにより、ユダヤ人はフランス社会の平等な一員として認められ、公職に就く権利や財産を所有する権利が保障されたんですね。ただし、解放後もユダヤ人に対する偏見や差別は完全には消えず、課題が残ったのも事実です。

 

このように、フランス革命はユダヤ人の解放を法的に実現し、宗教的少数派に平等の権利を与える重要なきっかけとなったのです。この進展は、ヨーロッパにおけるユダヤ人解放運動の先駆けとしても重要でした。

 

『ル・マレ地区のユダヤ人歴史文化美術館』
パリ、ル・マレ地区に位置するユダヤ人歴史文化美術館。ル・マレ地区はパリの歴史的なユダヤ人地区で、中世からユダヤ人が住み始めた場所として知られる。
（出典：Creative Commons CC BY-SA 4.0より）