
フランス革命の時代には、今まで使われていたカレンダー(グレゴリオ暦)をやめて、「革命暦」っていう新しい暦が導入されたそうですね。
それぞれの月に、独自の名前と意味があるって聞いてとても興味を持ちました。どんな名前がつけられていて、そこにはどんな思想や意図が込められていたんでしょうか?当時の人々にとって、どういう存在だったのかも含めて教えてください!
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はい、フランス革命暦(Républicain calendrier)は、当時の人々が「これまでの時代を断ち切って、新しい社会を始めるぞ」という強い意志をこめて作った、まさに時間そのものを革命しようとした暦なんです。
1793年から1805年までの約12年間だけ使われましたが、その内容はかなりユニークで、特に月の名前には革命的な精神がびっしり詰まっていました。
フランス革命暦では、1年を12か月に分けるところは今と同じなんですが、各月はラテン語やキリスト教の聖人に基づく名前ではなく、フランスの季節感や農業のサイクルにちなんだ名前がつけられました。
以下がその一覧です:
共和暦の月 | グレゴリオ暦での期間 | 名前の由来 | 込められた意味 |
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ヴァンデミエール | 9月22日から10月21日 | ブドウの収穫 | 収穫と新しい始まり |
ブリュメール | 10月22日から11月20日 | 霧 | 秋の霧と自然の変化 |
フリメール | 11月21日から12月20日 | 霜 | 冬の訪れと冷え込み |
ニヴォース | 12月21日から1月19日 | 雪 | 冬の静けさと雪景色 |
プリュヴィオーズ | 1月20日から2月18日 | 雨 | 冬から春への遷移期の雨 |
ヴァンタージェ | 2月19日から3月20日 | 風 | 春の訪れを告げる風 |
ジェルミナール | 3月21日から4月19日 | 芽生え | 生命の再生と自然の目覚め |
フロレアール | 4月20日から5月19日 | 花 | 春の花々の開花 |
プレリアール | 5月20日から6月18日 | 牧草 | 夏の準備と牧草の成長 |
メシドール | 6月19日から7月18日 | 収穫 | 穀物の収穫と夏の豊かさ |
テルミドール | 7月19日から8月17日 | 熱 | 夏の熱さと活動の高まり |
フリュクティドール | 8月18日から9月16日 | 果実 | 果実の成熟と収穫の完了 |
サンキュロット | 5日間(閏年には6日間) | 革命の服装「サンキュロット」 | 平等と革命の理念を祝う日々 |
どの月も、自然の現象や農作業と深く結びついているのが特徴です。
この暦が導入された理由のひとつは、旧体制(アンシャン・レジーム)や教会の影響から完全に抜け出すという目的でした。
従来のグレゴリオ暦は、キリスト教の祭日や聖人の記念日がベースになっていて、日々の生活に宗教が深く関わっていました。でも革命政府は、「宗教よりも理性や自然の方が大事だ」という考え方を持っていたんですね。
そこで新しい暦では、聖人の名前の代わりに、毎日ごとに植物・動物・農具などの名前を当てはめました。たとえば、「ジャガイモの日」とか「ハンマーの日」みたいな感じです。
これは、日々の暮らしに根ざした生活感覚を大切にしようという姿勢の表れだったんです。
この革命暦は、ナポレオンによって1805年に廃止されてしまいます。実用的にちょっと使いにくかったのも理由のひとつですが、それ以上に激しすぎる改革に対する反発もあったんですね。
フランス革命暦のカレンダー
1793年から1805年まで使用されたフランス革命暦。グレゴリオ暦からの脱却を図り、新たな時代の始まりを象徴する暦である。
(出典:Creative Commons Public Domainより)
とはいえ、この暦が目指したのは「人間中心」ではなく「自然中心」の暮らし方であり、そこにはフランス革命が目指した新しい社会と価値観のリセットが込められていました。
短命で終わったとはいえ、革命の理想が詰まった、非常に象徴的な文化的実験だったんです。
フランス革命暦の月の名前には、ただの日付以上の意味がたっぷり込められていたんですね。
自然や農業、日々の暮らしを大切にするという価値観は、これまでの宗教中心の時間感覚とはまったく違う、新しい生き方の提案でもあったと思います。
たとえ短命でも、「時間をどう数えるか」から社会を変えようとしたその発想は、今でもとても刺激的です。
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