フランス革命に浅間山の噴火は影響したのか

フランス革命に浅間山の噴火は影響したのか

1783年の浅間山噴火は世界規模の気候変動を引き起こしたとされる。冷夏や凶作がフランスの食糧不足を悪化させ、民衆の不満を高める一因となった可能性がある。自然災害が政治的動乱に影を落とす興味深い事例である。本ページでは、フランス革命の発生における気候要因を理解する上で重要なこのテーマについて、さらに詳しく掘り下げ解説していく。

フランス革命について調べていたら、「日本の浅間山の噴火が関係しているかも」と書かれているのを見て、すごく驚きました。日本で起きた火山の噴火が、遠く離れたフランスの歴史的な革命とどうつながるのか、いまいち想像がつきません。気候や農業への影響などがあったとも聞くのですが、具体的にどんな影響があって、フランス革命にどう関係していたのか教えてください!



浅間山の噴火は、「世界規模の気候異変」としてフランスの食糧危機を悪化させ、革命の土壌をつくった一因になったとも言われています。


1783年の浅間山の大噴火──一見、日本だけの出来事のように見えますが、実はその影響は地球規模で、遠くヨーロッパにも及びました。そしてこの自然災害が、フランスの社会不安や飢饉をさらに深刻にしたと考えられているのです。


浅間山の大噴火と「火山の冬」

1783年、日本の信州で浅間山(あさまやま)が大噴火を起こします。これは天明の大噴火と呼ばれ、日本国内では火砕流や火山灰によって大きな被害が出ました。と同時に、大量の火山灰や硫黄ガスが成層圏にまで達し、太陽の光を遮ることで気温を一時的に低下させるという現象を引き起こしたんです。


この現象は「火山の冬(volcanic winter)」と呼ばれ、数年にわたって世界的な冷夏や異常気象を引き起こしたと考えられています。特にヨーロッパ北部やフランスでは、その後数年にわたり天候不順が続き、農作物の不作や飢饉を招きました。


Tenmei Eruption 1783

天明の浅間大噴火/1783年
1783年の浅間山の大噴火を描いた古い図。この自然災害は後の気候変動を引き起こし、世界各地で食糧危機や経済的混乱を招き、フランス革命の間接的な要因ともされる。
(出典:Creative Commons Public Domainより)


フランスでの飢饉とパンの高騰

浅間山の噴火があった1783年以降、フランスでも異常気象や冷夏が続きます。とくに1780年代後半は小麦の収穫量が大きく落ち込み、パンの価格が暴騰。


この時代、パンは庶民にとっての主食中の主食。それが高すぎて買えない──となれば、当然庶民の怒りや不安が爆発します。「王様たちは贅沢な暮らしをしているのに、私たちはパンも食べられないのか」という感情が社会に広まり、政治への不満と結びついていったのです。


つまり、浅間山の噴火はフランスの食糧事情をさらに悪化させる遠因となり、社会の爆発的な不満の「下地」をつくったともいえるんですね。


遠く離れた火山が歴史を動かした?

もちろん、浅間山の噴火だけでフランス革命が起きたわけではありません。しかし、火山活動による気候の異常が、当時の世界的な農業経済に連鎖的な混乱をもたらしたことは確かです。


浅間山の噴火以外にも、同じ頃にはアイスランドのラキ火山が大規模噴火(1783年)を起こしており、こちらもヨーロッパの冷夏の原因の一つとされています。つまり、複数の火山が重なって引き起こした気候変動が、18世紀後半の飢饉と社会不安に拍車をかけたというわけです。


このように、自然の力が国境を越えて歴史の流れに影響を与えるというのは、とても興味深い視点ですよね。


このように、浅間山の噴火は、地球規模の気候異変を通じてフランスの飢饉と社会不安を助長し、結果的にフランス革命の遠因の一つとなったのです。


直接的な原因ではないにせよ、この噴火によって起きた冷夏や農作物の不作は、当時すでに不満を抱えていた庶民たちの怒りをさらに加速させました。自然災害が国を越えて政治や社会にまで影響を及ぼす──そんな複雑で壮大な歴史のつながりを、浅間山の噴火はまさに象徴していると言えるでしょう。