フランス革命の良い点と悪い点って何？

フランス革命は、自由や平等といった近代社会の土台を築いた一方で、その過程で多くの混乱や暴力を生んだという両義的な革命でもありました。
民衆が自分たちの力で国を変えるという強い意志は、多くの国に影響を与える「希望」となった反面、その激しすぎるエネルギーは時にコントロールを失い、「恐怖」となって人々を飲み込んでしまったのです。

市民の力を解放した「希望の革命」

フランス革命のもっとも大きな「良い点」は、王や貴族が当然のように支配していた社会から市民が主役の政治へと切り替わったことです。
人権宣言に掲げられた「自由」「所有権」「安全」「圧政への抵抗」は、それまでの封建的な価値観を真っ向から否定し、誰もが平等に扱われるべきという理想を社会の中心に据えました。

さらに、教会や貴族の特権を廃止し、財産や権利の再配分が行われたことで、中産階級や農民が力を持ち始めます。
これによって近代的な市民社会の基礎ができあがり、教育や言論の自由、法の下での平等といった考え方が広まりました。

こうした革命の成果はフランスにとどまらず、やがてヨーロッパ各地、さらには世界へと波及していきます。
アメリカやラテンアメリカ、さらにはアジアでも民主主義運動や独立運動に影響を与えるなど、世界史レベルの「思想の輸出」となったのです。

暴力と混乱を生んだ「危うい革命」

その一方で、フランス革命には悪い点も少なくありません。
特に問題視されるのが、過激化した政治と暴力のエスカレートです。民衆の怒りが爆発した結果、1793年から始まる恐怖政治では、国に反対する者を次々と処刑。ギロチンは「革命の象徴」として恐れられ、毎日のように血が流れました。

1792年9月の虐殺事件
1792年9月にパリで発生した虐殺を描いた絵画。この期間中に無差別に囚人が殺害され、フランス革命の恐怖政治の一環として行われた。この作品は、選挙権を巡る政治的な緊張がどれほど激化していたかを示している。
（出典：Creative Commons Public Domainより）

この絵に描かれている1792年9月の虐殺（セプテンバー・マサクル）では、「王党派の反乱が起きるかもしれない」という恐怖から、民衆が牢獄に押し入り囚人を無差別に殺害しました。
「自由のために戦う」という理想の名のもとに、法を超えた私刑が横行したのです。

また、経済的にも革命期は大混乱。通貨の価値が暴落し、物価は急騰。食料不足も深刻で、民衆の暮らしはかえって不安定になったともいえます。
つまり、理想と現実のギャップが生んだ苦しみも大きかったのです。

理想と現実を併せ持った「矛盾の革命」

良い点と悪い点が入り混じるフランス革命は、まさに矛盾だらけの革命でした。
一方で人類の進歩を象徴する輝かしい出来事でありながら、もう一方では多くの命を犠牲にした悲劇でもあります。

たとえば「自由」や「平等」を掲げながらも、実際には女性の参政権は認められず、奴隷制度もすぐには廃止されませんでした。
革命家たちは新しい世界を夢見ていましたが、その夢を実現する過程では排除や抑圧も起きていたんです。

それでも、フランス革命が投げかけた「主権は国民にある」という問いかけは、その後の世界の政治や社会に深く根を下ろし、今の私たちにもつながっています。
現代でも民主主義の理想と、その実現の難しさを考えるとき、フランス革命は避けて通れないテーマなのです。