フランス革命と市民革命の違いとは？

フランス革命（1789年～1799年）は市民革命の代表的事例ですが、両者は同じ言葉ではありません。市民革命というのは、封建的な支配体制を打倒し、市民（ブルジョワジー）を中心とする近代国家を築く一連の革命の総称で、時代や国は問いません。つまり「革命のタイプ」を指す概念であり、フランス革命はその中でも特に影響力が大きかった歴史的事件なのです。

両者の違い

概念の違い

市民革命は歴史学上の分類で、代表例にはイギリスの名誉革命やアメリカ独立革命、そしてフランス革命があります。目的は、王や貴族の特権を廃して議会や憲法による政治を確立し、市場経済を発展させること。
フランス革命は、絶対王政と身分制度を廃止し、「自由・平等・博愛」を掲げて共和政を樹立しました。広範な民衆蜂起、国外との戦争、恐怖政治など、政治・社会・文化のあらゆる面を大きく変える激動の10年間となりました。

ルイ16世の処刑
1793年、フランス革命中のパリ、ラ・コンコルド広場で行われたルイ16世のギロチンによる処刑を描いた絵画。王政の終焉と革命の象徴的な出来事。
（出典：Creative Commons Public Domainより）

目的と進め方の違い

市民革命という枠組みでは、比較的平和的に進んだ名誉革命から、長期の内戦を経たピューリタン革命まで、その手段や規模はさまざまです。共通しているのは、政治権力を国民に移し、近代的な法制度や経済体制を整えること。
フランス革命はその中でも極めて急進的で、ルイ16世の処刑や恐怖政治など過激な局面を経ながら、最終的に国民主権の原則を広く世界に示しました。

共通点

両者とも封建的特権を否定し、政治参加の拡大と市民的自由の確立を目指しました。また、市民革命の理念は産業革命と結びつき、19世紀の資本主義社会を支える基盤となります。フランス革命はその象徴的事件として、自由主義や民主主義の理念を世界各地に波及させました。
ただし、市民革命はあくまで分類概念であり、フランス革命はその中の一つの実例である、という関係性が重要です。