フランス革命以降の服装・ファッションの変化とは？

フランス革命（1789〜1799年）は、服装の意味や価値観を根本から変えた出来事でもありました。それまで服装は身分や階級を誇示するための象徴でしたが、革命後は「平等」「市民らしさ」を示す手段へと移り変わります。

革命前のファッション

旧体制（アンシャン・レジーム）では、貴族や上流階級は絹やレースをふんだんに使った華やかな服装を着こなし、男性は膝丈のキュロット（半ズボン）、女性はコルセットで締め上げた豪奢なドレスをまとっていました。服は社会的地位を示す「記号」そのものでした。

革命期の変化

革命が始まると、華美な服は「貴族的」「反革命的」とみなされることもあり、より質素で実用的な服装が広がります。特に都市の労働者階級や急進的な革命派はサンキュロット（長ズボンを履く者）と呼ばれ、上流階級のキュロットを拒否して労働者風のズボンや短い上着、赤いフリジア帽などを身につけました。これは単なる服装の選択ではなく、政治的立場を表すシンボルでした。

フランス革命期のサンキュロット
革命期に活動的だった労働者階級、サンキュロットを描いた絵画。シンプルで実用的な服装が特徴的で、彼らの日常生活と革命における役割を表現。
（出典：Creative Commons Public Domainより）

女性の服装の変化

女性の間では、革命後に古代ギリシャ・ローマ風の「アンピール様式」が流行します。コルセットを緩め、ハイウエストで直線的なシルエットの白い薄布のドレスを着るスタイルは、「自然」と「自由」を象徴するものでした。これは革命の理念とも響き合い、身分差を強調しない新しい美意識を示していました。

革命後の影響と19世紀へのつながり

ナポレオン時代になると軍服風の装飾や威厳を感じさせるスタイルが取り入れられ、再びある程度の華やかさが戻りますが、それでも旧体制の過剰な装飾は復活しませんでした。フランス革命は「服は社会的立場を示すだけでなく、政治的メッセージを伝えるもの」という考え方を広め、その後のヨーロッパ全体のファッションの方向性を変えたのです。