フランス革命とロシア革命の違いと共通点

フランス革命とロシア革命の違いと共通点

フランス革命による近代市民社会の形成は資本主義的秩序の確立をもたらしたが、ロシア革命は社会主義体制を目指す根本的な経済・政治構造の転換だった。両者は既存体制を打倒するための大衆動員と暴力を伴った過程が共通する。だが目指す社会像や国際的な影響の方向性は大きく異なる。本ページでは、フランス革命期の理念と20世紀初頭の社会主義運動の比較を理解する上で重要なこのテーマについて、さらに詳しく掘り下げ解説していく。

フランス革命って18世紀末に王政を倒した出来事ですよね?一方でロシア革命は20世紀初頭、帝政ロシアを終わらせた大事件だと聞きました。同じ「革命」と呼ばれているけれど、時代も背景も違うし、目指した社会の形やその後の展開も全然別物らしいです。この二つの革命は、具体的にどこが異なって、どんな共通点があるのでしょうか?世界史の中での位置づけや影響も含めて、わかりやすく教えてください。



フランス革命(1789年~1799年)とロシア革命(1917年)は、どちらも既存の支配体制を打ち破り、新しい政治の枠組みを作ったという点で共通していますが、その目的や理念、進め方は大きく異なります。前者は絶対王政を終わらせ国民主権と市民社会を基盤とする近代国家を築く変革、後者は帝政と資本主義の否定を通じて社会主義国家を樹立する試みでした。


両革命の違い

時代背景の違い

フランス革命の背景には、18世紀末の財政破綻、食糧不足、旧来の身分制度への不満、そして啓蒙思想の広がりがありました。封建制を廃止し、「国民こそ主権者」という理念を掲げて共和政へと突き進みます。
ロシア革命は第一次世界大戦中の戦争疲弊、経済混乱、農民や労働者の生活苦が引き金でした。ロマノフ朝を打倒した二月革命に続き、十月革命でボリシェヴィキが政権を握り、資本主義を否定する社会主義体制を築きます。


Batumi Demonstration 1917

バトゥムのデモンストレーション/1917年ロシア革命
1917年、ロシア革命の影響下、バトゥムで行われた市民のデモの様子
(出典:Creative Commons Public Domainより)


目的と手段の違い

フランス革命の目的は、絶対王政を終わらせ、憲法や議会による政治を確立し、市場経済と市民的自由を守ることでした。民衆蜂起、地方反乱、国外との戦争を通じ、制度と価値観を大幅に作り替えました。
ロシア革命は、生産手段の国有化や階級差の撤廃といった経済的平等を重視しました。二月革命は比較的平和的な政変でしたが、十月革命は武力蜂起であり、その後の内戦と一党独裁の確立へつながります。


両革命の共通点

どちらも旧体制の崩壊と、新しい政治理念の提示が共通しています。フランス革命は「自由・平等・博愛」、ロシア革命は「労働者と農民による国家」を掲げ、民衆の政治参加を拡大しました。また、国内にとどまらず、フランス革命は19世紀の自由主義・民族主義運動を、ロシア革命は20世紀の社会主義運動や植民地独立運動を刺激しました。
ただし、フランス革命は最終的に民主主義的な枠組みを残し、ロシア革命は一党独裁体制の確立という形に至った点が、大きな違いといえます。


このように、フランス革命は近代民主主義の基盤を築いた「市民革命」、ロシア革命は資本主義を否定した「社会主義革命」として、それぞれ異なる方向から世界史を動かしました。いずれも古い秩序を打ち破り、後世の政治運動や国家像に深い影響を与えた転換点だったのです。