
フランス革命は、経済や財政の面でも社会に大きな変革をもたらしました。旧制度(アンシャン・レジーム)の下では税負担の不均衡や財政赤字が深刻でしたが、革命はその根本的な解決を目指しました。しかし、混乱と矛盾の中で経済政策は幾度となく軌道修正を余儀なくされました。以下で、革命前と革命期における経済や財政の変遷を追いながら、その成果と課題について詳しく解説します。
革命以前のフランスでは、第一身分(聖職者)と第二身分(貴族)が免税特権を享受しており、税負担の大半が第三身分(平民)に集中していました。これにより、農民や都市労働者は生活を圧迫され、貧困に苦しんでいました。この不公平な税制が、革命の大きな火種となったのです。
三身分
税負担を初めとする不平等な社会構造を風刺した絵画。快適に座る貴族と聖職者(第一身分と第二身分)と、その下で労働を背負う第三身分が描かれている。。
(出典:Creative Commons Public Domainより)
フランスの経済は農業が基盤となっていましたが、天候不順や人口増加に伴う食糧不足が頻発しました。特に、1788年から1789年にかけての飢饉はパンの価格を高騰させ、民衆の不満をさらに煽りました。
ヴェルサイユ行進/1789年10月5日
パリの市場の女性たちが「パン」を求めてヴェルサイユ宮殿へと進行し、ルイ16世をパリへと連れ戻すことを要求した事件を描いた絵画
(出典:Creative Commons Public Domainより)
ルイ16世(1754 - 1793)の治世では、アメリカ独立戦争への介入や宮廷の浪費により、財政赤字が膨らんでいました。改革を試みたネッケル(1732 - 1804)らの財務総監も抜本的な解決策を見いだせず、国王はついに三部会の招集を余儀なくされます。
これらの経済問題に対処するための抜本的な改革が行われなかった結果、フランス革命は「財政的危機」が引き金となって勃発しました。経済問題が社会の基盤を揺るがし、国全体の変革へとつながったのです。
ジャック・ネッケルの肖像
ジョゼフ=セフォラン・デュプレシによる肖像画。フランスの財務大臣として経済危機に対処した。
(出典:Creative Commons Public Domainより)
1789年8月4日の「封建的特権の廃止」により、農民が領主に支払っていた年貢や労役義務が廃止されました。この改革により、農民は土地を自由に扱える権利を得ました。しかし、土地所有の不均衡は依然として解消されませんでした。
革命政府は、財政赤字を解消するためにアッシニア紙幣を発行しました。この紙幣は没収した教会財産を担保にしていましたが、過剰発行により価値が急落し、インフレーションを引き起こしました。物価高騰は民衆の生活を圧迫し、さらなる不満を生む結果となりました。
1790年発行のアッシニア紙幣
フランス革命後の財政改革の一環として導入された通貨。過剰発行によりインフレを引き起こし、フランス経済にさらなる混乱をもたらすこととなった。
(出典:Creative Commons Public Domainより)
革命期には、対外戦争が激化する中で、戦争遂行のための経済政策が優先されました。徴税制度が見直され、全国的な物資動員体制が整えられましたが、農村と都市の対立を深める要因にもなりました。
革命期の経済政策は封建的特権を打破したものの、インフレーションや物資不足などの混乱を引き起こしました。この経済的不安定さは、革命の終焉後もフランス社会に影響を及ぼしました。
ヴァンデー反乱
革命政権の徴税制度に対する農村部の強い不満が爆発して起こった反乱。大勢の農民が虐殺される形で鎮圧された。
(出典:Creative Commons Public Domainより)
以上、フランス革命と経済・財政についての解説でした!
ざっくりと振り返れば
・・・という具合にまとめられるでしょう。
ようは「フランス革命は経済的な混乱を伴いながらも、近代的な経済基盤を築いた大転換期だった。」という点を抑えておきましょう!以下でフランス革命期の経済に関する一問一答をまとめていますので、さらに詳しく知りたいという方は参考にしてみてください。