フランス革命期の派閥・党派

フランス革命期の派閥・党派

このカテゴリーではフランス革命期に活躍した派閥・党派について解説しています。政治機関や政治派閥、軍事団体や秘密結社など、革命の鍵となった動きを詳しく見ていきましょう。

フランス革命にはどのような勢力、派閥・党派が関わっていたのか?

フランス革命は多くの派閥や党派がぶつかり合い、国の命運を大きく変えた歴史的な出来事でした。王政の終焉や共和政の誕生だけでなく、数多くの党派間の争いが政治と社会を揺さぶり、国の形を変えていきました。三部会や国民議会から始まり、ジャコバン派、ジロンド派、そして山岳派など多彩な勢力が交錯した激動の時代。その中で、これらの派閥が果たした役割を深く掘り下げていきます。

 

 

政治機関

フランス革命期の政治は、さまざまな機関が形成される中で推移しました。これらは革命の各段階における象徴ともいえる存在でした。

 

三部会

革命の端緒となった三部会は、1789年に召集されたフランスの伝統的な議会です。貴族、聖職者、平民からなる三つの身分が議席を持ちましたが、平民の声は軽視されました。これが国民議会の成立へとつながったのです。

 

Opening of the Estates General at Versailles on 5th May 1789

1789年5月5日、ヴェルサイユで開かれた三部会
1839年にルイ・シャルル・オーギュスト・クーダーによって描かれたこの絵画は、フランス革命へと繋がる政治的変革の瞬間を捉えている。
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

国民議会

国民議会は、平民の主張が集約され、革命初期の中心機関となりました。ここで採択された「人間と市民の権利の宣言」は、民主主義の基礎として歴史に刻まれています。

 

Abolition of Privileges at the National Assembly 1789

1789年、フランス国民議会で特権階級の免税特権が廃止される法案が採択された瞬間を描いた貨幣のレリーフ
(出典:Creative Commons CC0 1.0より)

 

立法議会

立法議会(1791年 - 1792年)は、1791年憲法の下で設立され、フランス初の立憲君主制を支えるべく設けられました。しかし、急進派と穏健派の対立が深まり、短命に終わりました。

 

Salle du Manège

立法議会の会議場
フランス革命時、立法議会の議場として使われた屋内馬術練習場の様子。この場所で多くの重要な議論が行われ、革命の方向性が決定された。
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

国民公会

国民公会(1792年 - 1795年)は、王政を廃止し共和政を宣言しました。ここでは、山岳派が台頭し、恐怖政治を展開する舞台ともなりました。

 

Examination of Louis XVI in the National Convention

国民公会の議場
国民公会の議場として使われていた屋内馬術練習場におけるルイ16世の裁判の様子を描いた絵画
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

公安委員会

国民公会の執行機関として公安委員会が設立されました。ロベスピエールが主導する中、反革命分子の粛清が進められました。恐怖政治を象徴する機関です。

 

Committee of Public Safety

フランス革命期の公安委員会(共和暦2年)
フランス革命の最も激動の時期に設立された公安委員会の役割を示すイメージ。この委員会は革命政府の権力集中を推進し、内外の敵に対抗するための強硬な措置を実施した。
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

総裁政府

総裁政府(1795年 - 1799年)は、恐怖政治後の体制として設けられましたが、腐敗と権力闘争に悩まされ、ナポレオンのクーデターで終焉を迎えました。

 

Members of the French Directory

総裁政府の総裁
左からメルラン・ド・ドゥーエー、ラ・ルヴェリエール=レポー、バラス、フランソワ・ド・ヌフシャトー、ジャン=フランソワ・ルーベル
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

総領政府

ナポレオンの台頭によって成立した総領政府は、フランス革命の事実上の終結を告げました。この政府は安定をもたらしましたが、皇帝即位への布石でもありました。

 

Members of the Consulate

総領政府の総領
左からジャン=ジャック・レジ・ド・カンバセレス、ナポレオン・ボナパルト、シャルル=フランソワ・ルブラン
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

政治派閥

フランス革命期には、多くの派閥が政治的主導権を争いました。これらの党派は、それぞれの理念や目標を持ち、激しく対立しました。

 

ジャコバン派

ジャコバン派は、急進的な共和派として知られています。山岳派を含み、平等主義と民主主義を推進しました。彼らは恐怖政治を展開し、フランス国内の革命を守ろうとしました。

 

Jacobins

ジャコバン派が、その原稿や出版物に押印していた印章
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

山岳派

ジャコバン派内の最左翼を構成したのが山岳派です。ロベスピエールを中心に、反革命分子を徹底的に排除しました。その影響力は絶大でしたが、独裁的な政治手法が反発を招きました。

 

Maximilien Robespierre

マクシミリアン・ロベスピエールの肖像
フランス革命期の山岳派の指導者。大量の反革命派をギロチンに送る恐怖政治を推進した。
(出典: Creative Commons CC0 1.0より)

 

ジロンド派

ジロンド派は、穏健派の共和主義者であり、地方分権を重視しました。急進派と対立し、最終的には山岳派に敗北し、多くが処刑されました。

 

Jeanne-Marie Roland

ジャンヌ=マリー・ロラン(1754–1793)
フランス革命期、ジロンド派のジロンド派の黒幕的存在。通称「ジロンド派の女王」。山岳派と対立の末、投獄・処刑の運命を辿った
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

王党派

王党派は、旧体制を支持し、王政復古を目指しました。彼らは革命初期にフランス国外へ逃れ、反革命同盟を支持しました。

 

軍事・外交関連

軍事や外交面でも、革命期の派閥や党派は影響を及ぼしました。

 

フランス革命軍

フランス革命軍は、共和政を守るために創設され、対仏大同盟との戦いで重要な役割を果たしました。その軍事的成功は、ナポレオンの台頭を助けました。

 

French Revolutionary Army Ranks

フランス革命軍の将兵
将軍、軽装兵、一般兵士を描いたこの絵は、フランス革命軍の階級と服装の多様性を示している。革命的な変革期における軍の重要性とその構成が見て取れる。
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

スイス傭兵

スイス傭兵は、王政を守るための武装勢力として活動しました。特に、1792年のテュイルリー宮殿襲撃での抗戦は象徴的です。

 

Storming of the Tuileries Palace 1793

テュイルリー宮殿襲撃
1793年、八月十日事件のテュイルリー宮殿撃の様子を描いたジャック・ベルトーの絵画。この際スイス傭兵は殺到する民衆(義勇兵)から王家の防衛にあたり、大勢が犠牲になった。
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

対仏大同盟

対仏大同盟は、ヨーロッパ諸国がフランス革命の拡大を阻止するために結成した軍事同盟です。これに対抗するフランスの戦争が革命をさらに激化させました。

 

ウィリアム・ピットの肖像

ウィリアム・ピットの肖像
対仏大同盟を組織し、フランスの革命運動を潰そうとしたイギリスの首相。
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

その他の団体

革命期には、政治機関や軍事派閥以外にも重要な団体が活動していました。

 

サン=キュロット

サン=キュロットは、労働者や小商人を中心とした革命支持者たちの呼称です。彼らは革命の急進化を後押しし、山岳派を支持しました。

 

Sans-culottes during the French Revolution

フランス革命期のサンキュロット
革命期に活動的だった労働者階級、サンキュロットを描いた絵画。シンプルで実用的な服装が特徴的で、彼らの日常生活と革命における役割を表現。
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

フリーメイソン

革命期に暗躍したフリーメイソンは、平等や自由といった啓蒙思想の普及を推進しました。その影響力は、革命の理念形成に不可欠だったといえるでしょう。

 

Masonic Eye of Providence

プロビデンスの目
フリーメイソンリーにおいて広く認識されている象徴、プロビデンスの目。このシンボルは全知の目を表し、しばしば三角形や光輪に囲まれて描かれる。
(出典:Creative Commons Public Domainより)

 

以上、フランス革命期の派閥・党派についての解説でした!

 

ざっくりと振り返れば

 

  • 政治機関は革命の進行に合わせて変遷した
  • ジャコバン派や山岳派などの派閥が政治を動かした
  • 軍事や秘密結社も革命を支える役割を果たした

 

・・・という具合にまとめられるでしょう。

 

ようは「フランス革命は多彩な派閥と党派が入り乱れる中で進行し、歴史的な変革をもたらした。」という点を抑えておきましょう!以下でフランス革命期の様々な勢力、派閥に関する一問一答をまとめていますので、さらに詳しく知りたいという方は参考にしてみてください。